温シップと冷シップの使い分けは?

2012年03月21日

この質問は、日常診療でとても多く聞かれます。

温シップと冷シップの話の前に、まずはシップの種類(基材)について説明します。
シップには大きく分けて、パップ剤とプラスター剤に分類されます。

●パップ剤
パップという言葉は、粥状または泥状という意味です。水分を多く含むのが特徴で、この水分は蒸発により患部の熱を奪い、冷却効果が期待できます。また、皮膚の角質層に水分を補給して、薬の吸収を促す効果も期待できます。その基材に局所刺激剤や消炎鎮痛剤などが含有されています。局所刺激剤のカンフル、ハッカ、メントールなどが入ったものは冷感タイプ、唐辛子エキスが入っていて皮膚の温感点を刺激するものは温感タイプと呼ばれています。
●プラスター剤
プラスター剤(硬膏剤)は、脂溶性の高分子の基材に、パップ剤に含まれている成分と同じ局所刺激剤や消炎鎮痛剤などが含有されています。

つまり、パップ剤またはプラスター剤といった基材に温感タイプの局所刺激薬(とうがらし成分)が入っていいるか、冷感タイプの局所刺激薬(ハッカ、メントールなど)が入っているかで、温シップ、冷シップが分類されます。
それでは、それぞれの使い分けです。

●冷シップ
主に、急性疾患に使われます。具体的には、打撲や捻挫など、局所の熱感や腫れがある場合に有効です。冷やすことにより局所の血管が収縮し、炎症を抑え、痛みをおさえます。しかしながら、パップ剤自体に若干の冷却効果があるとはいえ、局所刺激薬はあくまでも冷感といって冷たく感じるための薬であって、冷却効果はさほどありません。したがってシップ剤の消炎鎮痛効果は期待できますが、局所の冷却には患部を保冷材で冷やしたほうが効果的です。

●温シップ
主に、慢性疾患に使われます。肩こりや、腰痛、関節痛など、筋肉や関節を動かすと痛い場合に用います。消炎鎮痛薬の効果と、温めることにより血管が拡張し、血液の循環がよくなります。その結果関節や、筋肉の緊張がやわらぎ、鎮痛効果が得られます。

シップと言えども、疾患や症状によって使い分けることが大切です。
簡単にまとめてみましたがご不明な点がございましたら遠慮なく当院へご相談ください。

中神クリニック
西神中央、西神ニュータウンの整形外科
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